御浜町熊野参詣道伊勢路景観保護条例

更新日:2021年03月31日

平成14年6月26日
条例第14号

 御浜町は、紀伊半島の南東部に位置し、豊かな自然と奥深い歴史に恵まれた地域である。御浜町には、古くから熊野三山への参詣道として、多くの人々がさまざまな想いを抱きながら辿った熊野参詣道伊勢路が良好な状態で存在していることから、「熊野古道」と称しての21世紀への熊野詣が甦った。
 私たちは、これらの古道が祖先の築いてきた歴史の重みを示すものであり、周囲の環境とともに良好な状態で引き継がれてきたことにより、極めて高い価値を有する遺産となり得たことを誇りとしている。
 私たちには、この大切な遺産を保護し、次の世代に確実に引き継いでいく使命があると考える。この使命実現のためには、古道そのものを保存するだけでなく、貴重な遺産周辺の文化的景観や自然環境もあわせて守ることが重要であることを認識しなければならない。
 この地域に住む私たちは、地域の価値と役割を正しくとらえ、自らの信念によってこれら貴重な遺産を末永く保存し、次世代に継承していくことを目指してここに条例を制定する。

目的

第1条 

この条例は、地域遺産である熊野参詣道伊勢路(以下「参詣道」という。)と貴重な遺産周辺の文化的景観や自然環境を保全することが必要な地区の指定、及びそのすぐれた条件を活かした景観づくりについて必要な事項を定めることにより、良好な文化的景観を将来の世代に継承することを目的とする。

定義

第2条

 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

  1. 文化的景観保全地区 歴史的意義を有する参詣道に沿って豊かな自然景観を有し、計画的に自然景観の保全を図る必要がある地区をいう。
  2. 自然景観の保全 現存する地形の保存、森林等の自然美の豊かな景観を守り、育てることをいう。
  3. 景観づくり 自然景観の形成並びに保全をいう。
  4. 原因者 土地の形質変更、土石の採取、建築物等の建設及び改築、木竹の伐採、その他の景観を阻害するすべての行為を行う者をいう。
  5. 建築物等 建築物、工作物及び広告物をいう。
  6. 事業者 農林業経営や建築物等に係る各種事業を行う者をいう。
  7. 参詣道の利用者 観光、信仰等を目的として、参詣道へ来訪する者をいう。
  8. 町民等 保全地区内に土地を所有及び占有する者、並びに町の区域に居住し、若しくは滞在し、又は保全地区を通過する者をいう。

町の責務

第3条

  1.  町は、参詣道の良好な文化的景観が保全されるよう適切な保全措置を講ずるとともに、文化的景観の環境確保に対する町民の意識の高揚と自主的活動の助長に努めなければならない。
  2.  町は、国及び県の施策と相まって参詣道の文化的、社会的条件に配慮した歴史的文化遺産の環境確保に関する施策等を策定し、実施しなければならない。
  3.  町は重要な文化的景観遺産の保存、活用を図るため、これらの毀損、滅失等の防止に努めなければならない。

町民等の責務

第4条

 町民等は、自らが参詣道の文化的景観づくりの主体であることを認識するとともに、相互に協力して参詣道の景観づくりに努めるものとする。

保全地区の指定

第5条

  1.  町長は、参詣道の保全すべき地区を文化的景観保全地区(以下「保全地区」という。)として指定することができる。
  2.  保全地区を指定したときは、その名称及び区域を告示し、保全地区の図面を住民等に縦覧に供さなければならない。
  3.  保全地区の指定は、告示によりその効力を生じる。
    (保全地区指定の取り消し)

第6条

  1.  町長は、保全地区がその価値を失った場合及びその他特別な事由があるときは、当該地区指定を取り消すことができる。
  2.  前項の場合には、前条第2項並びに第3項の規定を準用する。

全保全地区における利用のための規制

第7条

  1.  参詣道の利用者は、保全地区において、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
    1. 火災の危険を生じさせること
    2. ゴミその他汚物又は廃物を捨て、又は放置すること
    3. 土地の形質を変更すること
    4. 鉱物を発掘し、又は土石を採取すること
    5. 木竹の伐採又は草木の採取、その他生態系を壊すおそれのあること
    6. 看板、標識、工作物等を設置すること
  2.  前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合は適用しない。
    1. 非常災害のために必要な応急措置を行う場合
    2. 通常の管理行為としての軽易な参詣道の修復を行う場合

保全地区における行為の許可

第8条

  1.  保全地区において、次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする事業者は、規則で定めるところにより、あらかじめ町長の許可を受けなければならない。
    1. 建築物及び工作物の新築、増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは外観の色彩の変更
    2. 広告物の設置及び形状等の変更
    3. 土地の形質の変更
    4. 鉱物の採掘又は土石の採取
    5. その他景観保全に大きな影響を及ぼすおそれがあると町長が認める行為
  2.  前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合は適用しない。
    1. 非常災害のために必要な応急措置を行う場合
    2. 通常の管理としての軽易な行為及びその他規則で定める行為を行う場合

保全地区における行為の届出

第9条

  1.  保全地区において、次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめその内容を町長に届け出なければならない。
    1. 木竹の伐採または植栽
    2. その他景観保全に大きな影響を及ぼすおそれがあると町長が認める行為
  2.  前条第2項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
  3.  町長は、第1項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が自然景観を保全する上で必要があると認めるときは、その届出者に対し、必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。

是正措置

第10条

町長は、保全地区において、景観が著しく阻害していると認められる場合には、原因者に対して景観の保全に配慮した是正措置を勧告することができる。

立入調査

第11条

  1. 町長は、文化的景観の環境確保のために必要があると認めるときは、その必要の限度において関係職員を実地に立ち入らせ、その状況を調査することができる。
  2.  前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
  3.  第1項の規定による立入調査の権能は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

国等の機関に関する特例

第12条

  1.  国若しくは地方公共団体の機関、又は法令の規定により国の機関若しくは地方公共団体とみなされた法人が保全地区内で行う第8条の許可に係る行為については許可、第9条の届出に係る行為については届出を要しない。
  2.  前項の行為については、あらかじめ町長に協議しなければならない。

参詣道環境保全指導員

第13条

 町は、参詣道の環境保全状況を把握し、参詣道の環境保全のための指導等に当たらせるため、参詣道環境保全指導員を置くことができる。

規則への委任

第14条

 この条例の施行に関して必要な事項は、町長が別に規則で定める。

附則

施行期日

この条例は、公布の日から施行する。

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